アスベスト(石綿)を知る

アスベスト(石綿)を知る

アスベスト(石綿)の特徴と使用実績

石綿は、鉱物の一種であるにもかかわらず、しなやかで糸や布に加工できるという特徴があります。耐熱性、耐摩耗性に優れた材質で、比較的安価に調達できたため、断熱保温材や、建材(建築用資材)に広く利用されました。
いくつか種類がありますが、特に多く用いられたのはクリソタイル(白石綿)、アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)の3つです。
第2次大戦中は一時輸入が途絶えましたが、1949(昭和24)年から再開され、1970年から1990年にかけて年間約30万トン輸入されて、主に建材の原料に使用されました。1995(平成7)年にクリソタイル以外の石綿の輸入・製造・使用等が禁止され、2000(平成12)年に輸入量が10万トンを切り、2004(平成16)年には一部を除く石綿原則禁止、2012年に文字通りの石綿全面禁止となりました。

アスベストが原因となる病気

石綿の粉じんを肺に吸い込むことで、長期の潜伏期間を経て様々な病気を発症します。石綿粉じんしか発症しない病気もあれば、肺がんのように他の原因でも発症しうるので見逃される病気もあります。労災、石綿救済法による補償を受けるためには、病名を明らかにすると共に、病気に応じた認定基準を満たす必要があります。

石綿関連疾患の認定基準

労働実態の把握

石綿に関する病気にかかった被害者が労災認定を受けるためには、その労働実態を適切に把握する必要があります。
石綿の粉じんにばく露する(触れる、吸い込む)危険のある作業は、石綿製品の製造・加工業に限りません。石綿を含有する保温・断熱材を取り扱う作業や、石綿製品の取り付けられた設備に頻繁に立ち入る業務に従事した方にも被害が発生しています。石綿製品製造業以外で被害者が多いのは建築作業員(大工、左官、解体業、電気工、築炉・断熱業、道路・水道関係作業など)、発電所・石油プラント内の作業員、自動車・鉄道車両・航空機の製造及び整備作業員などです。
石綿関連疾患(石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水)になったが、どこで石綿に触れ、吸い込んだのかが分からない場合、以下の作業一覧を参考に、過去の職歴から仕事の中身を思い出してください。

石綿に関する作業

  1. 石綿鉱山・石綿製品の製造に関わる作業
  2. 石綿や石綿含有岩綿等の吹きつけ・張りつけ等作業
  3. 石綿原綿または石綿製品の運搬・倉庫内作業
  4. 配管・断熱・保温・ボイラー・築炉関連作業
  5. 造船所内の作業(造船所における事務職含めた全職種)
  6. 船に乗り込んで行う作業(船員 その他)
  7. 建築現場の作業(建築現場における事務職含めた全職種)
  8. 解体作業(建築物、構造物、石綿含有製品等)
  9. 港湾での荷役作業
  10. 発電所・変電所・その他電気設備での作業
  11. 鉄鋼所または鉄鋼製品製造に関わる作業
  12. 耐熱(耐火)服や耐火手袋等を使用する作業
  13. 自動車・鉄道車両等を製造・整備・修理・解体する作業
  14. 鉄道等の運行に関わる作業
  15. ガラス製品製造に関わる作業
  16. 石油精製、化学工場内の精製・製造作業や配管修理等の作業
  17. 清掃工場または廃棄物の収集・運搬・中間処理・処分の作業
  18. 電気製品・産業用機械の製造・修理に関わる作業
  19. レンガ・陶磁器・セメント製品製造に関わる作業
  20. 吹きつけ石綿のある部屋・建物・倉庫等での作業(教員 その他)
  21. エレベーター製造または保守に関わる作業
  22. ランドリー・クリーニングに関わる作業
  23. ガスマスクの製造に関わる作業
  24. 上下水道に関わる作業
  25. ゴム・タイヤの製造に関わる作業
  26. 道路建設・補修等に関わる作業
  27. 映画放送舞台に関わる作業
  28. 農薬、バーミキュライト等を扱う作業
  29. 酒類製造に関わる作業
  30. 消防に関わる作業
  31. 歯科技工に関わる作業
  32. 金庫の製造・解体に関わる作業
  33. その他の石綿に関連する作業
  34. タルク等石綿含有物を使用する作業

石綿に関する作業は、以下のサイトもご覧ください。当時の作業状況等の写真と共に詳しい説明が記載されています。

石綿ばく露のための手引き

石綿含有製品の紹介

石綿含有製品は、戦前は船舶、汽車の保温材として、戦後は建材、保温材として多用されました。セメントやモルタル、ベビーパウダーなどにも混入していたことが最近の調査で判明しており、知らないうちに石綿製品を使用していた可能性もあります。
製品を切断したり、破砕したり、あるいは経年劣化して剥がれたりするときに石綿粉じんが発生します。石綿粉じんに繰り返しばく露した場合、石綿関連疾患を発症する危険があります。

  1. 石綿原綿(わた・繊維)
  2. 石綿吹きつけ材
  3. 石綿フェルト
  4. 石綿保温材・煙突材
  5. 石綿含有屋根材
  6. 石綿紙
  7. 石綿セメント管・石綿パイプ
  8. 石綿パッキング・ガスケット
  9. 石綿含有ボード(外壁材・内装材)
  10. 石綿織物・布・ひも・テープ・リボンなど
  11. 石綿含有塗料・石綿含有シーリング材・石綿含有接着剤
  12. 石綿含有摩擦材(ブレーキパッドなど)
  13. その他の石綿製品

石綿製品の種類や使用例について、以下のサイト(写真付)もご覧ください。

石綿製品の種類や使用例

その他

アスベストの特徴、過去に使用されていた建材やこれまでに石綿被害者が認定された事業場を調べるため、各種サイトにて情報が公開されています。

※労災認定された事業場の年次データは別ページにて随時更新されています。読み方や調べ方の分からない場合、当弁護団までご相談ください。

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