建設アスベスト訴訟の3次提訴を大阪地方裁判所において行いました。
死亡被災者2名(A氏、B氏)の遺族7名を原告として、建材メーカー7社に対して合計5700万円余の損害賠償を求める裁判を2022(令和4)年6月7日、大阪地方裁判所に提訴しました。当弁護団としては3回目の追加提訴となり、さらに提訴を準備しています。
被告企業は、ニチアス、ノザワ、エーアンドエーマテリアル、エムエムケイ、大建工業、日東紡績、パナソニックホールディングス。
被災者A氏は左官工として約36年間現場で作業に従事したために、左官工事で多用したモルタル混和材「テーリング」(ノザワ製)に含まれていた石綿に大量にばく露して悪性胸膜中皮腫を発症、死亡しました。
被災者B氏は大工・内装工として約50年間現場で作業に従事したために、内装材として使用された石綿含有ロックウール吸音天井板、石綿含有けい酸カルシウム板(第一種)、石綿含有スレートボード等に含まれていた石綿に大量にばく露して肺がんを発症、死亡しました。
今回の提訴の特徴は、建材メーカーのみを被告とした点です。
国については最高裁判決にもとづいて、建設アスベスト給付金制度が制定され本年1月より受付開始となっています。
しかし、建材メーカーについては最高裁判決で損害賠償責任が確定した企業であっても、最高裁判例に基づく和解に応じることを拒否しているために損害賠償請求訴訟を起こす必要があります。
今回の提訴は、そうした建材メーカーに対する責任追及を効果的に行うため、全国の弁護団が緊密に協力し、北海道から九州までの12地方裁判所に一斉に起こし、被災者136名について原告191名の大規模なものとなりました。
建設アスベスト被害について、全体の損害額のうち、国の賠償責任は最大2分の1にとどまります。
したがって、当弁護団は可能な限り、建材メーカーに対する損害賠償請求を起こし、これを実現していくことは、被害者の救済ならびに社会の公正・正義の実現にとってとても大切だと考えています。
当弁護団は、国に対する建設アスベスト給付金の請求について積極的に取り組んでおりますのでお気軽にご相談ください。さらに、建材メーカーについての損害賠償請求の可能性についてもご相談、ご検討されることをお勧めします。
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