日本のアスベスト訴訟について

 アスベストによる健康被害に関する訴訟は、日本では、まだまだ少ないのが現状です。

 既に終了した事件で、わたくしたちが把握している数は15件です。15件のうち14件が職業曝露で、7件は造船関係、4件が石綿製造関係です。家族曝露、環境曝露については、それぞれ1件ずつあります。
もっとも、この状況は2005年のクボタショック以来、少しずつですが、変わってきています。

 一つは、中皮腫被害の賠償を求める訴訟が増えたことです。クボタショック以前では、中皮腫と裁判所が認めて、雇用主に賠償を認めたのは、わずか2例でした。ところがクボタショック以降は10件以上の中皮腫被害の訴訟がおこされています。これは潜伏期間が長い中皮腫の被害が顕在化してきたこと、クボタショックにより中皮腫がアスベストによる被害だということが知れわたったことが原因と考えられます。

 もう一つは、国の不作為の責任を問う訴訟が起こされ、また、今後も起こされると予想されることです。アスベスト新法による救済が不充分なままでは、この傾向は、今後も間違いなく続くと考えられます。

 アスベスト訴訟が少ない最大の原因は、潜伏期間の長さです。肺がん、悪性中皮腫あるいは石綿肺(石綿のじん肺)となるのに、10年単位の潜伏期間があるわけですから、たとえば肺がんになったとしても、20年、30年前の曝露が原因であるとは、被災者ご自身やご家族がなかなか気付かないのです。また、気付いても、どこに相談してよいかわからず、あきらめてしまうことも、もう1つの大きな原因でしょう。

 アスベスト訴訟弁護団は、このような現状を変えるべく、努力をしていきます。